
麻酔や薬を使わない和痛分娩
今、麻酔を使った無痛分娩がもてはやされていますが、痛みが怖いというのは、皆さん同じだと思います。
ただ、麻酔を使って無痛分娩をすれば痛みがまったくないという訳ではありません。
人によっては麻酔が効きにくかったりしますし、夜間でスタッフが少ない場合にはできない場合も考えられます。
また、忘れてならないのが、無痛分娩の追加代金が高いという問題もあるようです。
そういう問題を解消するため、バースセンターでは麻酔や薬を使わない『和痛分娩』を2025年4月から開始します。
追加料金なしの鍼灸ケア
料金も和通分娩での追加料金はありません。
産前~分娩中~入院中まで、希望者には鍼灸を使ったケアが受けられます。
もともとバースセンターは、お産の痛みさえとれればお産が楽になるわけではないと考えています。
常にスタッフが寄り添いながら、心の不安を取り除き、無事に赤ちゃんがうまれるまでケアする必要があると考えています。
そのために今までも「アロマ」「吸い玉」「パルス治療器」「ホットパック」などを活用し、体をほぐしてきました。
今後、希望者にはこれまでのサービスに加えて、鍼通電治療器を使った『和通分娩』を開始いたします。
※鍼麻酔は実際の麻酔ではなく、無痛になるわけではありません。正しくは「鍼鎮痛」と言い、痛みを和らげる方法のひとつです。ただし、効果には個人差があり、すべての人に同じように効くわけではありません。
日本の鍼灸の歴史
実は今からさかのぼること50年前、当時の産婦人科医師の方々が陣痛緩和に鍼灸を活用する方法をかなり研究されていて名著を残されています。
実際麻酔を使わず鍼麻酔だけで帝王切開を成功させた例も当時の記録で数件あります。
そのようなムーブメントが起こったのは約50年前のニクソン大統領の訪中の出来事からです。
アメリカにおける鍼への認識の始まりは、1972年にニクソン大統領が初めて訪中する前年に当たる1971年、当時の大統領顧問でありましたヘンリー・キッシンジャーが訪中し、ジェームズ・レストンというニューヨークタイムズの有名なジャーナリストが随行した時に起きた不運です。
レストン記者は、北京で運悪く急性虫垂炎になり、中国で西洋医学的な手術を受けました。手術の後1日半位して術後の痛みと不快感を訴え、鍼施術を行いました。約1時間後には痛みと不快感が無くなり、その後は再発しなかったのです。レストン記者は帰米して、1971年の7月26日に自分の体験をニューヨークタイムズの第一面に大々的書きました。その後、8月22日のニューヨークタイムズの社説の中に、中国のいろんな場所での鍼麻酔の見聞記を掲載いたしました。
翌年ニクソン大統領の訪中のおり、主治医のDr.ウォルター・タカチも随行し、一行は鍼麻酔の現場を見てきました。その後主治医のタカチ医師は帰国後ホワイトハウスの昼食会にNIHのディレクターを呼び「ぜひともNIHは、鍼についての研究を始めるべきだ」と言いました。
これは政治がハイレベルに科学に影響を及ぼした一例です。
NIH・・・ National Institutes of Health(アメリカ国立衛生研究所) の略。アメリカ政府の機関で、医学や生物医学研究を主導する世界的に権威のある研究機関です。医療や健康に関する基礎研究から臨床試験まで幅広く行っています。
この出来事をきっかけに、日本の医師の間でも鍼麻酔の研究がはじまりました。
陣痛の痛みの緩和に使えるのではと当時の産婦人科の先生方も研究されていましたが、残念なことにこの研究を牽引されていた 『がま産婦人科医院』の蠣崎要先生が1980年に逝去され、産婦人科医の間で広まりそうになった研究も下火になってしまったようです。
他にも当時研究されていた先生方はいらっしゃいましたが、皆さん高齢が逝去されていている状況です。
残された文献を参考に実践したところ分娩時の和痛効果だけでなく、陣痛が弱い場合にも陣痛促進効果など、効果がでています。
バースセンターの出産はアクティブバースが基本です
アクティブバースとは、妊婦が自由な姿勢で主体的にお産を進める方法です。立つ・座る・四つん這いなど楽な姿勢で分娩でき、痛みの軽減や分娩の進行を助けます。自然な出産を重視し、医療介入を最小限に抑えるのが特徴です。
自分が楽な姿勢で陣痛緩和をしていただくため、今回の通電は鍼と同程度の刺激を加えることができる鍼通電機に鍼ではなく心電図用のシールを使い、さらに安心してご利用いただけるように進めていく予定です。
途中刺激が足りない場合などは、患者様に確認しながら鍼やお灸の施術も取り入れていこうと思います。
50年の時を経てこれからまた新しい『和通分娩』の扉が開かれようとしています。
みなさんもぜひバースセンターの『和通分娩』で家族みんな笑顔で赤ちゃんをむかえてください。
